■ 住宅購入時の夫婦共有名義とは?

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2019年11月02日

■ 住宅購入時の夫婦共有名義とは?

◆住宅購入時の名義は「夫婦共有」と「単独」どちらにする?

共働き夫婦が住宅を購入する場合、住宅ローンの契約者や住宅の名義を夫婦共有にするか、夫(もしくは妻)の単独とするかで悩むケースが多いはずです。

夫婦の年収に応じて、住宅の名義や住宅ローンの借入額も分担する…というシンプルな考え方もあります。しかしながら現在は、育児や介護、転職・独立などで、夫婦ともにキャリアの見通しが立ちにくくなっています。ですので、住宅ローンを完済する時点まで、夫婦ともに同じ収入や雇用先が確約されているわけではありません。

そこで今回は、「住宅を夫婦で購入するメリットとデメリット」に焦点を当て、住宅購入の際、名義を夫婦共有にする場合に知っておきたい知識をお伝えします。

◆住宅の名義と贈与税の関係とは?

住宅の名義(持ち分)は、原則として、購入時に夫婦が負担した資金の割合(頭金や住宅ローンの借入額)に応じて決めるのが一般的です。たとえば、4,000万円の住宅を購入するケースで考えてみましょう。

住宅購入の頭金を、夫が300万円、妻が700万円(実家からの贈与含む)負担し、住宅ローンは夫が2,500万円、妻が500万円を借り入れたとします。この場合、夫婦の持ち分は、以下のように計算することができます。

夫の持ち分

(頭金300万円+住宅ローン2,500万円)÷住宅価格4,000万円=7/10

妻の持ち分

(頭金700万円+住宅ローン500万円)÷住宅価格4,000万円=3/10

上記の例では、それぞれの持ち分をふまえて、住宅の名義も7割が夫、3割が妻とするのが妥当でしょう。

持ち分を超えて「夫婦とも2分の1」などのように名義を分けると、夫から妻に資産が譲渡されたものとして、贈与税の課税対象となる場合があります。また、夫婦の片方が資金を負担していない状態で、住宅の名義のみを夫婦共有とすることも、贈与税の対象とみなされる可能性が高いので注意しましょう。

このように、住宅を夫婦共有名義にする場合は、まず、夫婦ともに住宅購入資金を負担できること(住宅ローンを負担する場合は、返済期間中、その返済をずっと続けられること)が前提となります。これらの基本をふまえたうえで、住宅を夫婦共有にしたい、という場合は、続いてお伝えする夫婦共有名義のメリットとデメリットを参考にしてください。

◆夫婦共有名義にするメリットは?

夫婦共有名義で住宅を購入するメリットは、おもに以下の3点です。

住宅購入を夫婦共有名義にする3つのメリット

  • 物件の選択肢が増える!
  • 夫婦で住宅ローン控除が受けることができる!
  • 相続税の減税になる!
  • 物件の選択肢が増える!

住宅の名義を夫婦共有にする際は、ほとんどの場合、頭金を出しあったり、住宅ローンを収入合算やペアローンで借りたりと、夫婦の年収・資産が合算されます。そのため、単独名義で住宅を購入する場合と比較すると、借入額を増すことができ、より多くの選択肢の中から物件を選べるようになります。住宅購入に譲れないラインがある場合は、望みの家を手に入れる手段の一つになると言えるでしょう。

  • 夫婦で住宅ローン控除が受けられる!

住宅ローンを、民間金融機関のペアローンや、フラット35の連帯債務で借り入れると、夫婦それぞれに住宅ローン控除が適用されます。

住宅ローン控除とは、年末12/31の住宅ローン残高の1%が10年間(消費税10%増税後は13年)控除される税制優遇制度のことです。その年の所得税と住民税が控除され、会社員であれば年末調整(自営業者は確定申告)をすることで、納めた税金が還付されます。

  • 「住宅ローンの返済期間が10年以上ある」
  • 「契約者の年収が3,000万円以内である」
  • 「建物の延床面積が50平米以上ある」

など、住宅ローンや契約者・建物のそれぞれに一定の条件がありますが、住宅ローン控除を夫婦で利用できる点は、住宅を夫婦共有名義にする場合の大きなメリットの一つと言えるでしょう。

  • 相続税の減税になる!

不動産所有者が死亡すると、所有の不動産は法定相続人のものとなり、その時点の評価額が一定額を超えた場合に、相続税の支払い義務が生じます。

夫もしくは妻の単独名義のローンであれば、不動産評価額が丸ごと課税対象となりますが、夫婦共有名義の場合は、死亡した方の所有部分のみが評価対象となるため、支払う相続税を少なくすることができます

ただし、相続税はすべてのケースで発生するわけではありません。基礎控除3,000万円+(法定相続人の数×600万円)以内の財産は原則非課税です。

相続税の判定には、不動産以外にも貯蓄や有価証券など全部の資産が合算されるため、基礎控除を超えれば税金は発生しますが、相続税対策のために夫婦共有名義を考えている場合は、相続時のメリットだけでなくデメリットも考慮したうえで決めましょう。

なお、夫婦のどちらかが亡くなった場合も、毎年の固定資産税の支払いや、夫婦のうち遺されたほうの住宅ローンの返済は継続するため、あわせて覚えておきましょう。

◆夫婦共有名義にするデメリットは?

それでは、住宅を夫婦共有名義にすることのデメリットにはどのようなものがあるでしょう。どんな商品でもメリットだけということはありません。デメリットについてもしっかり把握した上で、夫婦共有名義にすべきかどうか決めましょう。

住宅購入を夫婦共有名義にする3つのデメリット

  • 返済時のリスクがアップする!
  • 離婚したときに財産の取り扱いで揉める場合がある!
  • 相続時のリスクがアップする!
  • 返済時のリスクがアップする!

住宅を共有名義にするときは、多くの場合、住宅ローンを夫婦で借り入れることで「借入額を増やしたい」などの目的があります。しかし、長い返済期間中に、どちらかが仕事を辞めたり、年収が下がったりと、想定外の事態が起きた場合、多額の住宅ローンは家計を圧迫するリスク要因にもなり得ます

万一、収入が減った場合も返済がきつくならないよう、「借りれられる額ではなく返せる額で借り入れる」という住宅ローンの鉄則を守りましょう

とくに、一方が退職した場合、片方が住宅ローンの返済を肩代わりし続けると、贈与とみなされ、贈与税の対象となることになります(年間110万円以上の場合)。

また、退職などで収入がなくなったときは、不動産登記をやり直して住宅の持ち分を変更する手続きが必要です。その場合は、登記費用・登録免許税などもあらためて支払うことになります。

  • 離婚したときに財産の取り扱いで揉める場合がある!

住宅を夫婦共有にした場合のもっとも大きなデメリットと言えるのが、離婚時の話し合いの際、財産の取り扱いで、もめるケースが多い点です。万一離婚することになると、財産や負債を夫婦で分割する「財産分与」が行われます。

住宅を夫婦共有名義にしていると、双方に住宅ローンの返済義務があるうえ、どちらかが返済を滞納した場合の連帯保証も、夫婦がお互いに担うことになります。これらの債務をどうするか、滞納時の扱いをどうするかなどは、離婚時の話し合いでトラブルに発展しやすい議題です。

また、住宅を売却することも夫婦間で合意がなければできないため、一方は住み続けたいが、他方は売却をしたい場合なども交渉がもつれがちになる傾向があります。

住宅を購入する時点で、離婚するときのことまでは、なかなかイメージしにくいものですが、現在どれだけ仲の良い夫婦でも、一つボタンをかけ間違えたことで、離婚に至るケースも実際にあるのです。

万一の場合、これらのトラブルを避けるためには、夫婦名義で住宅を購入する際に、離婚時の取り扱いについても話し合って決めておくことをおすすめします。

  • 相続時のリスクがアップする!

住宅を夫婦共有名義にしている場合、夫婦のどちらかが死亡しても、もう一方の債務は残るため、引き続き、返済を続ける必要があります

また、子供のいない夫婦では、死亡したほうの親や祖父母、兄弟姉妹などが法定相続人となり、住宅の共有者が一気に増えるケースもあります。このような場合、住宅を売却するにも相続人全員の同意が必要になるなど、手続きが煩雑になることを覚悟しておく必要があります。

◆夫婦名義で借りる場合の住宅ローンは?

夫婦名義で住宅を購入する場合、住宅ローンには「連帯債務」「ペアローン」という二種類の契約方法があります。

  • 一つの住宅ローンを夫婦で借りる「連帯債務」!

連帯債務は、一つの住宅ローン契約を夫婦で借り入れる「収入合算」と呼ばれる契約方法の一種です。契約が一本となるため、住宅ローンの諸費用(事務手数料、登記費用など)も一本分ですみます

連帯債務では、夫婦の一方が「主たる債務者」、もう一方が「従たる債務者」となり、夫婦の収入などにあわせて住宅ローンの返済額と住宅の持ち分を決めます

通常、住宅ローン契約が一つの場合は、主たる契約者のみが団信(団体信用生命保険)に加入し、住宅の名義も主たる契約者のみとなります。ただし、全期間固定型の住宅ローン「フラット35」には、デュエットと呼ばれる夫婦向け団信があり、夫婦それぞれに保障をかけることも可能です(地銀にはありません)。

  • 夫婦で二つの住宅ローンを契約する「ペアローン」!

一方、ペアローンは、夫婦がそれぞれ一本ずつの住宅ローン契約を締結する方法です

フラット35での利用がメインとなる「連帯債務」に対して、ペアローンは民間金融機関での取り扱いが多くなります。契約が二本になるため、諸費用も二本分かかりますが、全期間固定金利のみのフラット35とは異なり、変動金利、期間固定金利など、金利タイプのバリエーションが豊富です。また、夫婦で異なる金利タイプや返済期間を自由に決めることもできます

◆まとめ

厚生労働省の調査では、1997年(平成9年)から、共働き世帯は一貫して専業主婦世帯を上回っており、共働きは現代の夫婦のスタンダードと言って良いでしょう。せっかく夫婦ともに収入があるのなら、共働きの強みを生かして住宅購入の選択肢を広げたい、と考えるのは、ごく当然の成り行きです。

これまでお伝えしたように、住宅を夫婦で共有する場合は、資金や税金といった金銭面で大きなメリットがあると同時に、離婚や相続など、予測が難しい未来に関するデメリットもあります。ただし、これらのリスクは、夫婦で話し合い、事前に対処法を決めておくことで、リスクを抑えたり、回避できることも事実です。

今回お伝えした、住宅購入と共有名義の知識も参考に、夫婦どちらの希望も叶えられるマイホームの購入を目指しましょう!

それでは、また!

 

 

 

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